この映画を偶然に観た者は悪人になれない
シネマライズが傍だったので『銀色のシーズン』で共演した水橋研二くんが
声の出演をしているというアニメ映画『秒速5センチメートル』を観る事に。
「『秒速5センチメートル』を一枚」
「どの席に致しますか?(座席表を見せる)」
「じゃあ、この真ん中あたりで…」
「階段を上って2階です」
席に着き、予告編か続いた後、スクリーン・サイズが変更されて、いよいよ本編か?
…あれ?実写だ。あぁ、これも予告編なのか?
何処の国の映画なんだろう? 知らない俳優ばっかりだな…

…随分と手を変えた予告編だな。音楽も無く、シーンを丸ごと見せてるような落ち着き感。
作家役の人、アントニオ・バンデラスみたいだな…
…な、長い…、予告編じゃないのか?

あぁ、確か上映前のアナウンスで「○○の後に本編の上映に…」とか言ってな。
本編の前に別な短編作品が併映になってたのかな?
…な、なんだか短編で終われそうな空気じゃないな…、ストーリーの問題は増えるばかりだ…
ま、まさか…!!!

自分の置かれた状況に確信出来たのは上映が始まって20分ぐらいしてからだった。
どうやら観ようとした映画とは違うスクリーンに入ってしまっていたようだ。
でも僕は確かに作品のタイトルを言ったし、言われた場所に入ったはず。
チケットを確かめたいが暗闇の中…
真ん中あたりの席だから両サイドが他の客で埋まってしまっていて出辛い。
今更出たところで『秒速5センチメートル』ももう上映の途中だろう。
諦めて観て行くしかないか…
でも果たして面白いんだろうか…?
…ところでこの映画、何て言うタイトルなんだぁ~?
当初は映画が終わったら、間違いを指摘して文句を言ってやろうと思っていた。
でも見終わった僕はすっかりその気を無くしていた。
むしろ、「この映画を観させてくれてありがとう」と言いたかった。
僕が間違って観た映画は『善き人のためのソナタ』、ドイツの作品。
タイトルやチラシの予備情報では全く気にも止めていなかった。
この間違いがなかったら、この先も一生観る事は無かったかもしれない。

でもこの映画、本年度アカデミー賞の外国語映画賞を受賞していたようだ。
地方ロケで東京を離れている内に情報に遅れてしまってたかな?
2月から公開されていて、とうとう今週20日に終映のようだ。
ギリギリセーフだったんだ…
静かなるサスペンス、とでも言おうか?
旧東ドイツの抑圧的な社会体制を背景に、緻密な心理ドラマが密やかに展開される。
派手なアクションやエフェクトに頼る事なくとも、とてもドキドキさせてくれた。
シナリオのセンスが抜群だと思う。
世の善悪ではなく、人が描かれているのだ。
登場人物それぞれが愛しく、切ない…。
作者の大いなる寛容が伺える心優しき映画だった。
この映画を観る事が出来て本当によかったと思えたよ。
" 今日のブログをチケット窓口で受付したお姉さんに捧ぐ "
もし貴女が意図的に僕をこの映画に導いていたとしたら…
貴女の事を HGW XX/7 と呼ばせて下さい。


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